2019年4月13日土曜日

2019.4.13-14. 大阪大学 国際公共政策コンファレンスで3年生2組が発表

「第5回 国際公共政策コンファレンス・待兼山会議」(主催:大阪大学法学部 国際公共政策研究科・会場 大阪大学豊中キャンパス)において、今年も3年生2組が応募し、2年生の1年をかけて行った課題研究「探究」の研究成果を発表する機会を得ました。

発表したのは、金島和花奈さんと、中川瑠花さん、松本葵さんのペアです。3人からそれぞれ、参加して学んだことと後輩へのアドバイスを書いてもらいました。また、中川さん・松本さんからは発表で用いたスライドと発表原稿を提供してもらいました。紹介します。
51期3年の金島さん・松本さん・中川さん
金島和花奈さんから

<自分の発表について学んだこと>
  • 私は、聴覚障害者の問題について調べたけれど、その問題をひと事として捉えるのではなく自分たち(健常者)にも繋げた点がよかったと言われた。
  • 国際公共政策コンファレンスなのでもう少し視点を世界に広げる必要があった。例えば、外国の聴覚障害者に対する政策を参考にするなどすると、もう少し世界との関わりを見いだせたかもしれない。
  • 上記に加えて、世界と日本の差に注目してもよかったかなと思う。
  • 質問されたことがほとんど事前に自分でも考えていた点だったので、やはり先にある程度の予測をしておくと返答に困らなかった。

<2日目の発表を見学して学んだこと>

  • 研究に夢中になってしまって1つの解決策に集中してしまうと、本質が違ってくることがあるため、RQを出来るだけ詳しくするという事は本当に重要であると実感した。そのため、少し時間がかかったとしても最初の課題設定は慎重にする必要があると思う。
  • 結論を書く際、その解決案のメリットのみを述べるのではなく限界を捉えることも必要になってくる。そうすることで、現実味を増した解決案に繋がる。
  • 導入部分でまず現状を客観的に示す。そののち自分の意見に繋げる方がよい。
  • 他国の事例などを取り上げた際、その事例が自分の問題の解決にどれほど効果的なのかを具体的に示すとよい。
  • まず問題の原因を追求する→そこを解決するために研究

<次回参加する後輩のみなさんへのメッセージ>
私は、このコンファレンスにでると決めてから本格的に論文を訂正する作業に取り掛かったのが遅かったため、短期間で詰め込む形となってしまったことが反省点です。だから、もしコンファレンスに出ようと決めたのならすぐに論文の編集に取り掛かった方が良いと思います。けれど、短期間の中で先生にも協力して頂いたこともあり、自分で納得のいく論文が完成したので最後までやりきることが1番必要だなと思いました。 
コンファレンスでは大学の先生方が厳しいご意見、質問をなさるので学校での発表よりも自分の発表の良い点、改善点をはっきりと知ることが出来ますし、懇親会では色んな県からきた経験豊富な高校生との交流で自分の視野が広がりました。2日目の代表の発表では、1日目よりも厳しい意見が沢山あり、発表を聞いている中で沢山のことを学びました。 
私は正直、発表の感触は思ったよりも良かったので、2日目に全体会で発表する代表に選出されなくて安心した反面悔しくもありました。次回出られる方は是非代表を目指して頑張って下さい。


中川瑠花さんから
・私はこの国際公共政策コンファレンスに参加し、たくさんのことを得ることができました。・まず反省点は、発表のスピードと目線です。20分という制限時間の中で出来るだけ長く発表できるように調節し、原稿も出来るだけ覚えてなるべく前を見るように練習しました。しかし本番では緊張してしまい、練習では噛まなかったところを噛んだり、原稿を忘れたり、スピードが早くなってしまいました。その結果5分以上も余ってしまい、「時間調節が出来ればもっと良かった」とアドバイスを頂きました。緊張することを想定しながら練習することが必要だったなと思います。 
・また、問題に対する解決策の甘さも反省点の1つです。他の高校の発表を聞いていると、既に問題解決に向けて活動し始めていたり、解決策を細かく具体的に提示している高校が多く、驚きました。それに対し私たちの解決策は抽象的で曖昧であり、今すぐに実現可能とは言い難いものでした。そこが他の高校に比べて欠けていると感じました。 
・次に、良かったところは、質問に対する応答です。参加すると決意したあと、私たちは過去に参加した先輩方の体験記を読みました。そこには、準備不足だったこと、特に質問にきちんと答えられなかったことが悔しかった、と書かれていました。なので私たちは、先生方に協力してもらい、質問をあらかじめ予想してそれに対する応答をしっかりと準備しました。その結果、本番では質問に対して焦らず慎重に受け答えができ、とても良かったと思います。 
・また、パワーポイントもこだわりました。情報過多にならならようにまとめた文章を表示し、見ている人に伝えたいことが伝わるように気をつけて作成しました。 
・また、アドバイスとして、テーマを絞り大きいことは言い過ぎないことが大切だと言えます。自分が研究していることが結果的に何を変え何を良くするのか、大きく言ってしまいがちですが、何度も原稿を見返して、本当かどうか確証が持てないことやいらないことは省くことが大切だと思います。 
・そして最後に、ペアワークの素晴らしさにも気づきました。私たちは2人で1つのテーマを決め探究してきました。2人で行うことで視野が広がり、お互いのミスを指摘しあってより良いものを創ることが出来ました。お互いがお互いに刺激を受けながら、切磋琢磨して探究していくことはとても有意義でした。1人で探究する場合でも、周りの友達や先生方に協力してもらうことで同じ効果が得られると思います。 
・国際公共政策コンファレンスで発表したことは、貴重な経験となり、自信にも繋がりました。大変でしたが、参加して本当に良かったと思います。
松本葵さんから
「国際公共政策コンファレンス」に参加させていただき、沢山のことを学ぶことができました。そして今回私が学んだことや気付いたことー特に、陥りがちなので気をつけなければいけない点ーを他の人にも生かしてもらえたらと思い、感想を書かせていただきます。

まず、発表の内容についてです。
・課題と解決策が途中でずれてしまう。:一貫性がなく、結局何を解決したいのかが分からなくなってしまう。
・明確な根拠を提示することなく、自分たちが考えた解決策の正当性を訴える。▷信憑性に欠ける報告になってしまう。 
・テーマが大きすぎて研究の内容がよく分からなくなってしまう。テーマは焦点を絞るべき。

次に、発表の方法についてです。
・パワーポイントのメインとなる色を決めずに必要以上にカラフルにすると、見づらくなる。強調色を1つに決めて、ずっと同じ色を強調色として使うべき。 
・パワーポイントのアニメーションが多過ぎる。しつこい印象を与える。 
・本番は緊張して、自分で思っている以上に早口で滑舌の悪い話し方になってしまう。
気をつけてゆっくり話すのが大切。 
・話している最中に貧乏揺すりをしたり片足体重になっていないか。見ている方は気になる。

この発表の場への参加はとても良い経験になり、また1年をかけて学んだ探究活動によって多くの知識と経験とを得ることができました。 
準備の際には、ペアと協力して活動したことで自分ひとりでは気が付かなかったことに気付くことができ、より説得力のある発表を作ることができたと思います。大変なことも多かったですが、参加して本当に良かったです。 
松本さん・中川さん作成のスライド と発表原稿
  





































2019年4月7日日曜日

2019.4.7. SGH甲子園 ポスタープレゼンテーション部門優秀賞を受賞した研究のポスター・発表原稿と体験記

2019年3月23日土曜日に 関西学院大学 西宮上ヶ原キャンパスで「全国スーパーグローバルハイスクール課題研究発表会 2019【SGH甲子園】」( 主催 関西学院大学/大阪大学/大阪教育大学)が行われました。


開会式の様子

本校からは、2年生の森吉天さん、田中理歩さんが研究成果ポスタープレゼンテーション部門にエントリーし、1年間『探究』の授業で取り組んだ研究の成果を英語で発表しました。

発表タイトルは、Which Dress Would You Buy? ~Actions Taken for the Abolition of Child Labor in India and Cambodia~。アパレル産業における児童労働をなくすためにインドとカンボジアにおいてこれまでに行われた対策を調べ、今後日本で必要とされる対策について考察しました。
発表で使用したポスター(クリックで拡大表示)

参加数はこの大会で最大の109校150チーム。このうち、英語による研究成果ポスタープレゼンテーション部門には31校がエントリーしていました。この中で、本校生2人による発表は、最優秀賞に次ぐ「優秀賞」を受賞しました。

発表原稿
Which dress would you buy and how would you choose?
> Which dress would you buy? And why? As you can see, these two dresses look similar, but the prices are different. One of the factors behind this is that one of these was made by children. According to this book, lots of fast fashion is based on child labor. This is a problem happening even in Japan, so we have to be more responsible. But how? As of 2016, 64 million girls and 88 million boys, about one in ten children in the world are under child labor. Over 40% of the world’s child labor population is in Asia. One of the sectors they work in is the apparel industry.

> From our research, we have found that Cambodia, India, and America have taken action to solve this problem.

> Human Rights Watch interviewed workers in Cambodia’s garment factories and found the use of child labor in at least 11 factories. Workers including children reported that they were working long hours and children reported that they were paid less than the minimum wage and weren’t able to go to school. In the interview many children said that they are working because their families are poor. For this reason, the reality was that Cambodia couldn’t ban child labour easily. In response to this, BFC an ILO’s programs aim to improve working conditions in Cambodia’s export garment factories and GMAC signed an agreement that workers under 15 years old will be given access to vocational training institutes and be paid the average wage of factory workers in Cambodia.

> In July 2010, the US Department of Labor published a report on what goods are made by children. This report includes facts on products from the apparel industry. In November that year, the apparel industry of India reached an agreement with the US Department of Labor. They accepted advice about reducing child labor and developing guidelines on labor practices. Also, the US government has made an action to stop child labor. In 2016, the former US president Obama revised a law concerning child labor. The new law says that they will not import products made by children under any conditions.

> But these are solutions taken in other countries. What do people in Japan need to do to reduce child labor? Here are some solutions.
First, the government should make rules or laws to reduce the import of garments made by children just like Obama did in the US. If we stop importing garments made by children, the manufacturers will have to stop using children to make their products to maintain their sales. Some of you may think that they should ban the import of garments made by children, but in reality, children can’t help but work so we should consider this more carefully and think of the best solutions for each country.

> As consumers, we need to look for garments that aren’t made by children.
To support this, the Apparel industry or NGOs should make some marks that will help us to identify if the product is made by children or not. In the present situation, there are brands like Patagonia that prints fair trade labels on products but we don’t usually see such marks on clothing tags and marks like RUGMARK which tell us that the rug wasn’t made by children. If we see such marks on clothing tags, we can make better choices about the products we buy. Also, because we feel that Japanese people’s awareness about child labor is very low, to create more awareness about it.

> Now that you’ve listened to our presentation, look at these dresses once again, which dress would you buy? and how would you choose?

体験記
>今回のSGH甲子園では、12月のSGH全国高校生フォーラムで学んだことをプレゼンに取り入れ、納得のいく結論まで作り、前日にはALTや社会科の先生方に発表を聞いてもらいアドバイスをもらうことで自信を持って発表することができました。発表後に受けた質問にも、3か月探究を進め問題を理解することで、周りを納得させられるような答えができました。2回目の全国レベルのプレゼンだったこともあり、12月より落ち着いて発表することができました。結果ポスタープレゼンの英語部門で優秀賞を頂くことができ、1年の努力が報われて嬉しかったです。閉会式の後のエキシビジョンとして行われた優秀賞の日本語プレゼンは同じ高校生とは思えないほど自分で実験と考察を繰り返しており、参考になりました。 
>私たちが今回取り上げたのは、児童労働という、私たちにとって一見関係のないように思えてしまう問題です。ただ世界のどこか遠くで起こっている問題程度でスルーされてしまうことが多く、探究をする前の私もスルーしてしまう人のうちの1人でしたでした。今回のプレゼンでは児童労働について1人でも多くの人に知ってもらいたいと、注目の引くタイトルにするなど工夫をしました。私たち高校生にできることはそれほど多くありませんが、今回のように世界の問題をプレゼンという形で周りに共有することだけでも大きな行動の一つだと感じました。将来大学で社会学を専攻し、現代社会にある問題について、原因やお互いに与える影響などをもっと深く学びたいとこの探究を通じて強く思うようになりました。 
>これから探究を進める後輩の皆さんへ: 私がこのテーマにたどり着いたのは幼い頃の疑問が元になっています。母親が安価な服を買わなかっため、安い服には何があるんだろう?と疑問に感じていました。そこでファストファッションの裏側について調べてみて、児童労働という問題を知りました。探究はすごく難しそうに感じるかもしれないし、探究したいテーマがなかなか見つからないかもしれないですが、幼い頃からの疑問や今自分の中にある疑問を調べてみたら、自分にとっても楽しいやりがいのある探究になると思います。12月のSGH全国高校生フォーラムや今回のSGH甲子園にもぜひ積極的に参加してほしいです。

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・「SGH甲子園2018 出場者から後輩へのメッセージ」の記事はこちらから
・「SGH甲子園2017 日本語プレゼンテーションの部で最優秀賞」の記事はこちらから