2017年3月30日木曜日

SGH甲子園2017【詳報】ポスター発表の内容と後輩へのメッセージ

全国スーパーグローバルハイスクール課題研究発表会2017 | SGH甲子園」には、最優秀賞を受賞した日本語プレゼンテーションの部のほか、ポスター部門にも4組が参加しました。この部門の研究内容と、参加した6人から後輩の皆さんへのメッセージをお伝えします。

ポスター部門で発表した4研究は次のとおりです。
(1) 自動運転時代の到来に向けて 〜法的整備の側面から〜
自動運転の自動車が普及した後、交通事故が起きた場合の責任の所在はどうなるのか、この疑問が研究の動機です。この疑問に関して探究していく中で、解決方法のヒントを見つけるとともに、法整備や事故の判断方法などについて新たな問題を発見しました。自動運転の走行実験等において最も進んでいる米国カリフォルニア州の法律などを参考に、これらと日本の現在のシステムを比較対照して、自分なりの解決案を提案します。

(2) 外国人技能実習制度をどのように改革すべきか
外国人技能実習生の現状を知り、彼らがより良い環境で働けるようにするためにはどのように制度を改革すれば良いかについて研究しました。主に論文やルポルタージュ、インターネットのサイトや統計などをデータとして用い、研究の結果として実習制度に代わる新たな制度が必要と考え、その具体的な案を打ち出しました。今後は研究範囲を広げ、技能実習生以外の外国人労働者についても研究していく方針です。

(3) 待機児童問題解消 〜潜在保育士を現在の保育の現場で活躍させるために〜
深刻な待機児童問題を解決する方法を見つけるのが研究の目的です。本研究では、「潜在保育士」という、保育士免許を持っているが保育士として働いていない人々に着目しました。彼らが現在現場で働いていない理由をもとに、どうすれば保育士として活躍できるようにしていけるのかを研究しています。そのための課題を整理して示し、解決策を提案できるよう研究を進めていきます。

(4) サプライチェーンの低炭素化を実現するためには
地球温暖化の抑制のために何ができるかを考えるため、製造業におけるサプライチェーンの低炭素化に注目しました。多数の日本企業に対して行われたアンケートのデータをもとに、企業の取組の方針と現状の全体像を知り、その後個別の企業の環境に関する報告を読み、特徴を調べています。今後は国内外の企業の課題を整理し、それらに対する提案を、市民・消費者としてできることは何かという視点も含めて行います。


後輩へのメッセージを書いてもらいました。
■池田さん
人前に立つことが苦手な私は、人前で発表することに慣れるためにこのSGH甲子園に参加しました。実際にプレゼンをしてみると、審査員の方が共感して頷いてくださったり、プレゼン後に「とても参考になりました」と他校の生徒さんが感想を言いに来てくれたりしました。このように、自分が考えたプレゼン発表に対して反応してもらえて、人に何かを伝えることは楽しいと感じました。苦手なことでもやってみれば楽しいと感じるかもしれないので、そのチャンスを逃さずにこれからも色んなことに挑戦していきたいと思いました。

■鈴木さん
 初めてのSGH甲子園で、最初は分からないことばかりで不安でしたが、いざ発表してみると案外うまく出来ました。また、発表後の質疑応答では、聞いてくださった方が、自分が今まで知らなかったことや新しい観点を教えてくれたり、研究についての助言を与えてくれたりしたので、とても勉強になりました。そして、日本全国から高校生が集まるので、様々な研究発表を聞くことができ、とても良い刺激になりました。

 何より、この大会がなければきっと関わることのなかっただろう人々と友達になることができたのが、一番の収穫かなと思います。なので、是非次の2年生の皆さんにも参加して欲しいと思います。きっと良い経験になると思います。

杉原さん
 私は今回SGH甲子園にでて、主に二つのことを感じました。

 一つは、様々な視点で物事を見ることの大切さです。千里フェスタや「探究」のクラスでの発表でも感じたことですが、自分とは違う側面から私のテーマについて考えてくれる人の意見にはいつも新たな発見があります。探究していくのに1番大切なことは物事を一つの方向からでなくいろんな側面から見ていくことです。今回のイベントでは高校生の他にも大学の教授の意見も聞くことができました。そのことで改めて”視点”の大切さを感じました。

 もう一つは知的な交流では得るものが多いということです。同じように探究に取り組み、この場で頑張ろうとしている人とは、初めて話す人でも共通点があります。その人たちと話していると、私は今まで頑張ってきたつもりだったけど、上には上がいるのだということを知るとともに、もっと頑張ろうと思えるようないい刺激を受けました。
 大学に進めば講義式の授業が減り、探究のように自ら取り組むような授業が増えていくと思います。そのときには、今以上にもっと成長したしっかりした探究内容にしたいです。

大平さん
 今回のイベントで一番印象に残ったのは、やはり参加していた高校生の積極性です。初対面の人ばかりの中で堂々と自身の研究結果を伝える姿や相手がなかなか答えられないような鋭い質問を投げかける姿を見て、とても影響を受け、私自身も積極的に参加することができました。研究内容もどれも素晴らしく、テーマも目を引くようなものばかりでした。ただ、解決策は、まだ完全でないチームが多いように感じました。私たち自身も含め、もっと早い段階で解決策の提案を始めた方がいいと思いました。

 また、次回からは千里高校も英語で発表してみてもいいと私は思いました。(注:昨年は英語プレゼンテーションの部に参加しました。ぜひ来年も!)

土佐さん
 今回のイベントに参加する前は、千里フェスタのような会場をイメージしていましたが、実際に関西学院大学に行ってみるととても大規模で全国的な大会で、高校を代表しているという緊張感がより一層高まりました。

 全国からたくさんの高校が飛行機や新幹線で長い時間をかけ、研究の成果を堂々と発表している、その姿勢に感心し、とてもいい刺激を受けることが出来たと思います。考え方はそれぞれ違っていて、自分では思いつかないような視点を知ることもできました。

 後輩へのアドバイスは、私たちのようなポスター発表の場合、題名のインパクトやポスターのインパクトが重要になっていて、聞きたいと思ってもらうこと、また、様々な視点から自分の探究結果を見つめることが重要だと実感したので、オーディエンスが聞きたいと思ってくれるような工夫や、オーディエンスからの質問にハキハキと答えられる知識を持つことが大切だと思います。

 今回のイベントは、大学の先生や日本の北から南まで、普段の生活では関わることのできないような人々と交流する、貴重な体験でした。今後も、積極的にプレゼンテーション能力や問題を様々な視点から考えられる柔軟さを伸ばしたいと考えます。

井村さん
 SGH甲子園への出場が決まった時、期待もありましたが不安の方が大きく、この日を待つのが憂鬱でした。多数の高校生や保護者、大学関係者の前で発表すると思い込んでいたためです。発表を躊躇ってしまう理由は自分の課題研究の不十分さを把握していたからです。私のレポートを先生はかなり高い評価をしてくださったので自信を持てたのですが、見返してみると「かなり物足りない内容になっているのでは」と自分の中で思い始めました。

 同時間帯に他4校が発表しましたがなかなか私のところに人が集まりませんでした。ポスターのインパクトが少ないというのがかなり響いていた気がします。タイトルも一捻りするべきでした。やはり1年間かけ、いろいろな方に手伝ってもらったものを多くの人に見てもらえないのはもったいないし悔しい思いがありました。しかし発表を見に来てくださる大人の方もあり、それぞれから質疑応答の際に鋭い質問を受け探究の甘さを実感しました。たくさんの課題が見つかりましたが、この1年間の経験は決して無駄だったとは思っていません。将来この経験を活かせるようにしたいです。


ぜひ新2年生のみなさんも参加して下さい!

なお、新3年生は、今年4月22-23日に大阪大学豊中キャンパスで行われる、第3回​国際公共政策コンファレンスにもエントリーしています。