2017年2月23日木曜日

2017.2.13.第2回SGH運営指導委員会が開かれました。

千里フェスタでの代表発表を見ていただいたあと、校長室で開催されました。

校長あいさつのあと、本校教員SGH委員から、本校のSGH事業の取組状況の報告等を行い、発表についての講評と、課題としてあげた項目について指導助言をいただきました。

1)前回以降の取組
1.    TAによる論文指導(10月、1月)
2.     オーストラリア研修旅行(12月)
3.    アンケート実施(12月)
4.    海外研修(1月)と事前事後指導 2年生12名
5.    来年度体制について協力依頼
6.   「探究」講座内発表、千里フェスタ発表、論文提出、論文集発行
7.    SGH甲子園(3月)5組、大阪大国際公共コンファレンス(4月)1組参加予定
2)前回の会議での指導助言と現状・課題 
3)中間評価にむけて 自己評価票
4)来年度事業計画と所要経費(千里フェスタ土曜実施、実践報告会開催)
5)課題 全校化(分担と教科間連携)・目標の共有・サステナビリティー

今回も経験に基づいた具体的な提案をいただきました。指導助言の内容を要約したものを掲載いたします。

【発表について】
  1.   すぐに提案ではなく、自分に何ができるかを考えたり、市民への呼びかけを行ったりしているのがよい。→他人事でなくす。具体的な行動につなぐ。
  2.   話し方が、スピード・明瞭さの点で、わかりやすい。
  3.   発表されていた研究に関わる事例が地元にたくさんある。子育て支援に学生ボランティアを活用するという提案をしていたが、東淀川で学生ボランティアを活用する取組もすでにある。ぜひ取材に行くとよい。
【全校化について
  4.   そこに行けば「探究」で何が行われているのかがわかる「場所」があることは重要。
  5.   「今こんな手助けが欲しい」と発信して、資源を持っている先生を生徒が巻き込んでいくのがいい。そういうつながりが増えていくと、課題研究で何をやっているのかが全体に見えるようになる。クラブとの調整もスムーズになることが期待できる。
  6.   先生全員が自己紹介を生徒に公開するのも一つの方法だ。大学での専攻や興味をもっていることがわかると、相談にのってもらいやすくなる。意外な趣味を持っていることがわかって、先生同士の相互理解も進む。
  7.   チーム指導を発展させるには、話し合う機会を増やすしかない。30分から1時間じっくり話して情報交換する。これを繰り返すと自ずとビジョンが共有される。SGHはチームビルディングのきっかけだと考えると良い。時間がかかるので大変だが、「誰のためなのか、生徒のためだ」と考えれば動くことを納得してもらえると思う。
  8.   「そう言われれば、こんな生徒の変化があった」といったことを拾い上げることは重要なので、勤務している大学では専攻内の会議を3時間かけてじっくりやっている。また、3ヶ月に一回は、専攻横断談話会をやっている。
【評価について
  9.   個人の自己評価シートがあると良い。それを見て、ここが足りないなと感じた時に相談できる。
10.       勤務している大学では、まず学生が自分で目標を書き、担任が相談に乗り一緒に設定する。そしてその後は、半年ごとに進捗を確認し、助言する。→文字化することで客体化でき、学生と教員が一緒に検討し、斜め上からのアドバイスが言える/聞ける。
11.       学習の歩みの記録を残し、見返すことができるように、クリアファイルを使ってポートフォリオを作る方法も良い。
12.       自己評価と他者評価を組み合わせた「ルーブリックに頼らない」評価を、三国ヶ丘高校は試みている。
13.       「この生徒はこう変わった」ということがわかるストーリー/エピソードも、評価者に対して説得力がある。
14.       アンケートの文章分析(テキストマイニング)という手法もある。
15.       できていないことをきちんと書き出すことで、要因分析をし、対策が立てられる。PDCAを回すためには、重要なことだ。
16.       グローバルリーダーを育てられたかどうかを評価するのは難しいことだが、試案を立てて評価を試みることで見えてくる事がある。評価法を評価するという姿勢で試みてもらいたい。
【サステナビリティーについて
17.       SGHは更新がないことが明らかになった。持続可能になるように、人材育成システムを作って欲しい。指定後を見据えて、学外団体で基金を作っている他県の高校もある。
18.       来年は千里フェスタ「学習成果発表会」を土曜日に開催するのなら、広く同窓生に呼びかけるとよい。卒業生はどんなことをやっているのかに興味があるので来る人も多いだろう。そこで必要な情報を持っている人が見つかるかもしれない。財政面での援助も期待できる。→卒業生とのつながりを活性化して学校の資源として活用する試み「ホームカミングデー」と名付けて行っている大学も多い。

2017年2月13日月曜日

2017.2.9,10,13 学習成果発表会「千里フェスタ」の発表内容の詳細をお知らせします。

<課題研究>
学習成果発表会「千里フェスタ」

Presentation Meeting SENRI FESTA

2017年2月9日,10日,13日



本校国際文化科・総合科学科両学科の課題研究を中心にした学習成果発表会「千里フェスタ」を開催しました。国際科学高校への再編時からスタートし、今回で第12回目となります。この記事では課題研究発表の全テーマを紹介します。
本校の学習成果発表会「千里フェスタ」は3日間に渡って行われます。
1日目は、オープニングとして、音楽選択者による合唱コンサートと基調講演を行なっています。今年の基調講演は、「志~君はどう生きるか」というタイトルで、(株)江坂企業家支援センター代表取締役の高木学様に、自らの体験を紹介しながら、時間の使い方が人生を決めるという内容を中心に話していただきました。
続く2,3日目は、校内20会場に分かれて,2年生全員が取り組む課題研究を中心とした発表を行いました。長くなりますが、発表の内容をご紹介します。タイトル・要約から、本校で行なっている課題研究の様子をお分かりいただけると思います。構成は次の通りです。

A. 国際文化科の発表

  1. 探究 (国際文化科2年)
    ~代表発表・探究プレゼン~
    ~探究セッション~
    ~TOEFL探究~
  2. 探究基礎(国際文化科1年)
  3. Global Communication(国際文化科2年)

B. 総合科学科の発表紹介

  1. 科学探究 (総合科学科2年)

C. SGH・SSH(連携)海外研修報告

  1. 「SGHニューヨーク研修報告」:"What we've learned in New York"
  2. 「SSH共同研究研修報告」:国内SSH指定校8校と台湾・高雄高級中学,高雄女子高級中学との共同研究の成果発表。
  3. 「SSH日韓高校生環境調査活動報告」:府内SSH指定校が韓国を訪問し,韓国・全州市の高校生との合同河川調査の成果発表。

D. 作品展示

  1. 探究基礎 (国際文化科1年)
  2. 生活科学 (国際文化科2年)

E. 国際大会・全国大会研究発表 ポスター掲示(総合科学科)

  1. 国際サイエンスフェア出場作品
  2. 全国大会発表作品

A. 国際文化科の発表

1.探究 (国際文化科2年)

「探究」の授業では,次の6つのテーマの講座に分かれて課題研究を進めています。
「企業と人権・労働・環境」「世界を知ろう・世界を考えよう」「男女共同参画 〜育児と仕事を両立させるアイデアとは」「環境 〜私たちを取り巻く様々な事象」「児童虐待をなくすためにはどのような対策を講じれば良いのか」「『教育』に関わる諸問題について」
1年間の研究成果をプレゼンテーション形式で発表しました。

~代表発表・探究プレゼン~

■企業と人権・労働・環境■

  • 「日本企業はどう難民と向き合っていくべきか」
  • 「ファストファッションの問題を軽減するために企業ができることとは」
  • 「女性が働きやすい社会をどうやったら作りあげられるか」
  • 「ファストファッションブランドの服はなぜ安いのか」

■世界を知ろう・世界を考えよう■

  • 「ファストファッションはなぜ安い?」
  • 「中国の大気汚染について~人体と環境に及ぼす影響~」
  • 「難民の子ども達が十分な教育を受けることができるようになるためには?」
  • 「銃をかかえた子どもたち」

■男女共同参画 〜育児と仕事を両立させるアイデアとは■

  • 「どうすれば小規模保育を有効に活用できるのか」
  • 「日本の保育士不足について~待機児童問題の解消に向けて」 
  • 「保育士を増やすためには」 「男性が育児休暇を取得するにはどうすればよいか」
  • 「ベビーシッターを普及させるためにはどうすればよいか」
  • 「どうすれば保育園入園のための保活を親が安心して行えるのか」
  • 「育児休暇中の仕事離れを防ぐにはどうすればよいか」
  • 「どうすれば,育休によって職場を離れる女性を減らせるのか

■環境 〜私たちを取り巻く様々な事象■

  • 「小笠原の自然を守るためにどうすればよいか」
  • 「詰め替え製品の新しい形とは」
  • 「富士山が永遠に世界遺産であるためにはどのようにすればよいのか」
  • 「日本人に有効な教育方法とはどのようなものか」
  • 「10年後の100円ショップはどうなっているか」
  • 「ごみによる地球への影響」
  • 「自動運転での事故,悪いのは運転手?車会社?」
  • 「子供世代の体育・運動能力の低下を改善するためには」

■児童虐待をなくすためにはどのような対策を講じれば良いのか■

  • 「児童虐待を防止する為に地域で出来る取り組みとは」
  • 「経済的困難によるネグレクトを減らすにはどうすればよいか」
  • 「児童虐待・虐待死をなくすために各機関がすべきこととは」 
  • 「日本の貧しい児童福祉体制を改善するには」
  • 「児童虐待の世代連鎖を減少させるために」
  • 「ひとり親家庭の経済的困難による児童虐待の実態とその解決案とは」
  • 「地域単位での虐待対策」
  • 「児童虐待による世代連鎖の実態と改善策とは」

■『教育』に関わる諸問題について■

  • 「早期教育について」
  • 「働く母は子を○○にする?~母親の就業と子どもの学力~」
  • 「海外と比較した日本の教育制度」
  • 「質の高い食育とは」
  • 「学力向上のために現在の教育に必要なこととは」
  • 「アメリカの教育と企業のつながり~日本の教育との比較~」
  • 「働く小さな手~児童労働をなくすために~」
  • 「学習意欲を向上させる教育法とは?~ビリギャルから考える~」
~探究セッション~
多くの人数を対象に発表するプレゼンテーションに対して,少人数で研究を紹介し合い,意見交換することに重点を置くのが「探究セッション」です。発表は国際文化科の2年生が行い,1年生は学科を問わず全員がいずれかのセッションに参加します。

■企業と人権・労働・環境■

  • 「サプライチェーンの低炭素化を実現するためには」
  • 「外国人技能実習制度をどのように改革すべきか」
  • 「児童労働をなくすためにはどうすればよいのだろうか」
  • 「強制労働を誰も傷つけずになくすことはできるのか」
  • 「UNIQLOの下請け工場の実態~労働問題はどのようにして改善されるのか~」
  • 「中国の労働状況とは」
  • 「企業と環境対策」
  • 「日本の企業がブラックなワケ」
  • 「ファストフード企業の問題点」

■世界を知ろう・世界を考えよう■

  • 「環境におけるCSR~水資源問題~」
  • 「インドの児童労働について」
  • 「フィリピンの経済問題~学校に行けない子供たち~」
  • 「なぜ発展途上国の人々は飢えるのか?」
  • 「なぜマンホールの下で人が生活しているのか」
  • 「世界一幸せな国"と言われているブータンは本当にしあわせなのか」
  • 「ストリートチルドレンの未来を明るくするために」
  • 「格差のむこうに見えたもの~フィリピン負のスパイラル~」
  • 「働かなければならない子どもたち」

■男女共同参画 〜育児と仕事を両立させるアイデアとは■

  • 「保育士を増やすためには」
  • 「育児休業制度に取り組むことの意義」
  • 「マタニティ・ハラスメント~妊娠しても当たり前に働ける社会を目指して」

■環境 〜私たちを取り巻く様々な事象■

  • 「琵琶湖の生物を救うためにはどうすれば良いか」
  • 「なぜ再生可能エネルギーは普及しないのか」
  • 「日本の若者の自殺を予防するには~精神面からのアプローチ~」
  • 「原子力発電所を再稼働すべきかどうか~各新聞社の比較~」
  • 「土佐くろしお鉄道の利用者を増やすためにはどうすればいいか」
  • 「万博記念競技場のバリアフリーは進んでいるのか」
  • 「日本のフードマイレージを減らすには?」
  • 「日本のツキノワグマを絶滅から守るには?」
  • 「日本のLGBT問題」
  • 「固有種を絶滅から守るためにはどうすればよいか」
  • 「女性差別をなくすためにはどうすればよいか」
  • 「アジアのハブ空港から旅客を獲得するには」
  • 「エコバッグ運動は本当にエコなのか」
  • 「言葉の乱れを改善するには」
  • 「十三商店街を活性化させるためにはどうすればよいか」
  • 「地球温暖化の原因メタンガスを減らすためには?」
  • 「伊丹空港に国際線を復活させることはできるのか?」
  • 「グローバル化と日本の文化」
  • 「ディズニーのキャストから学べることは何か」
  • 「東京オリンピック,パラリンピック」
  • 「日本を観光大国にするためには」

■児童虐待をなくすためにはどのような対策を講じれば良いのか■

  • 「若い親達が育児に関する知識を身に付けることで児童虐待を減らすためには」
  • 「障害を持つ子供の親による虐待をなくすために」
  • 「保護者の育児に関する知識を培うにはどうしたらよいか」
  • 「育児不安から起こる児童虐待を減らすには」
  • 「児童虐待の早期発見をするには何ができるのか」
  • 「育児不安による児童虐待を減らすためには」

■『教育』に関わる諸問題について■

  • 「中学校の『荒れ』を克服するには」
  • 「学校教育に体罰は必要か」
  • 「法と教育」
  • 「義務教育で身につけさせたい『基礎学力』と,それを高めるために」
  • 「体罰を減らすために」
  • 「ゆとり教育は失敗に終わったのか」
  • 「教育現場における体罰をなくすために」
  • 「いじめはなぜなくならないのか」
  • 「日本の教育がつくる日本人の特徴」
  • 「シチズンシップ教育の必要性と実現に向けて」
  • 「最も効率のよい勉強法とは」
  • 「非行の原因とその抑制・更生」
  • 「NO MUSIC NO STUDY」
  • 「子どもにとって必要な学力とは」
  • 「児童養護施設について~児童養護施設の現状から見る日本の教育制度の問題点~」
  • 「教育格差について」
  • 「なぜ日本人は英語がしゃべれない?」
  • 「日本の教育を良くするには」
  • 「学力格差について」
~TOEFL探究~
TOEFL探究では,TOEFL iBTに必要な四技能の習得を目標とし,様々なトピック(時事問題や専門的な分野)を学ぶなかで,総合的に使える英語を身につけます。年間一人3回の公開プレゼンテーションを行い,発表力を養っています。今回は6名の代表生徒が自分の興味のあるトピック(下記)についてリサーチし自ら分析した内容を英語で発表しました。
Impact of Fame / Volunteer / Suicide / Identity and Globalization / Politics and Media –Donald Trump- / Influencer Marketing

2. 探究基礎(国際文化科1年)

社会の課題を多面的に理解し,現実的な解決策を見つけるのが「探究基礎」と「探究」(2年生)の目標です。1年生では次の論題について肯定側チーム・否定側チームに分かれてディベートの形式を取り入れて,日本語で討論しました。
「福祉・介護の分野では外国人労働者を積極的に受け入れるべきである」 / 「公立の中学と高校は統合し,中高一貫校とすべきである」 / 「国際文化科では海外留学を義務化すべきである」

3. Global Communication(国際文化科2年)

2年GCの授業では,論理的,批判的思考力を養うことを目標に,英語ディベートに取り組んできました。様々なトピックについて賛成・反対の立場に分かれて,グループで協力して根拠をあげ,データを集め,意見をまとめて準備をします。実際のディベートにおいては,互いの議論を理解し,その場で反論し質問する力も求められます。今回は各クラス前半・後半から4名ずつ選ばれた代表生徒が次の論題について討論を行いました。
"We must have technology like smartphones and computers in our life."「私たちは生活の上でスマートフォンやパソコンのようなテクノロジーが必要不可欠だ。」 / "Japan should accept more immigrants to solve the population problems."「日本は人口減少問題を解決する為により多くの移民を受け入れるべきだ。」 / "Franchised restaurants have helped the world." 「フランチャイズレストランは世界に貢献してきた。」 / "It is better to work at a company which bases its salary system on worker's performance rather than on seniority."「年功序列制の給料の会社より能力給制の会社で働くほうが良い」

B. 総合科学科の発表紹介

  1. 科学探究 (総合科学科2年)
「科学探究」の授業では、総合科学科2年全員が、数学・情報系,物理系,化学系,生物系,スポーツ科学系の5つの講座に分かれて研究に取り組んでいます。1年間の研究成果成果を発表しました。

■数学・情報系■

「人工知能を作る」:人工知能が私たちの日常生活に必要不可欠となりつつある今,私たちは会話型の人工知能に注目した。JavaScriptを用いて,感情によって反応が変化する仕組みを取り入れた人工知能の開発を試みた。
「確率でみるサッカー」:サッカーにおいてのシュートと勝率という2つの分野にわけて,それらの確率を調べてみた。勝率では,どのようなチームが勝つかを調べ,PKでは,成功率を上げるためにどうしたら良いのかを調べた。
「なんぷれ」:新聞や雑誌などにもよく掲載されている「ナンプレ」という有名なパズルについて,多数ある問題はどのように作られているのかに興味を持ち,問題の製作者側の視点になって作成方法を考察した。
「球の反射」:ビリヤード台と同じ1対2の長方形上に球を任意の点においたとき,そこから長方形の頂点に到達するルートを1回反射させた場合,n回反射させた場合で考え,法則性,規則性を考える
「ピタゴラ数と円周上の点」:私たちはピタゴラス数の求め方を調べ,その求め方を応用し,1つの角が120°の三角形の3辺の整数値を求めた。ピタゴラス数とは,直角三角形の3辺の整数値のことで,例えば,「3,4,5」などがある。
「じゃんけんの勝負がつく回数の平均」:2人でじゃんけんをしたとき,勝負がつくまでの平均回数を計算すると 1.5 となることがわかった。実際にじゃんけんをして勝負がつくまでの平均回数をだしてみると,確かに 1.5 に近くなった。
「音の周波数と和音」:十二音階の音の波形をグラフで表し,二音または三音の合成波をつくり法則を求める。協和音と不協和音の間に規則性は見られないが,二音の場合,振動数の差が小さいものにはうなりの波形が見られた。
「一筆書き」:一筆書きが持つ数学的性質について研究した。日常生活において利用されている一筆書きを調べた。一筆書きから派生した分野である「グラフ理論」について調べ,グラフの持つ性質を考えた。
「生き物100 m頂上決戦」:私たちは,身近にいる生き物の大きさがすべて同じになったらどうなるのか気になり,体長と最高速度の値と筋肉量の比を用いて,100 m走のタイムを出し,それをもとに生き物たちを順位付けした。
「紙」:紙を折ることで生じる厚さを利用して,月まで行けるのか検証した。そこで,必要な運動エネルギーや生じる風力を求めた結果,月まで行くには規模が大きすぎるため,同様の方法で,エッフェル塔まで行くことにした。
「ミッキーと数学」:ミッキーを数学で表したいと感じたので,ソフト「GRAPES」を用いた。そこで,関数や領域により,ミッキーのパーツに近い形の曲線を計算し,ミッキーの顔を作成した。
「時計の針が重なる時間」:時計の針が重なる時間を調べた。まず,図を使ってわかりやすく計算した。そうすると重なる時間が定数を使って表された。次に,他の考え方を使っても求められるかを考え,単位円やn進法などを用いた。
「フィボナッチ数とリュカ数の関係性」:フィボナッチ数と定義が似ているリュカ数がある。フィボナッチ数で成立した性質や関係式に対して,リュカ数の場合でも同様に調べるとどうなるか比較した。すると,ある関係がみられた。
「フラクタル」:フラクタルの概要について調べ,フラクタルの図形である,マンデルブロ集合について理解を深めた。またマンデルブロ集合の漸化式を変え,新しい図形を作った。
「カプレカ数」:任意の桁の整数の桁を並び替えて,最大にしたものから最少にしたものを引く操作(カプレカ操作)を4桁と5桁の整数に繰り返し行って,それぞれの途中経過,結果について考えた。

■物理系■

「静電場スクリーン」:静電気を利用した装置を,銅線と塩化ビニルを用いて作製した。静電場スクリーンによって,物質(花粉,飛翔性の害虫)の通過を遮蔽する実験を行い,一般家庭でも使用できる装置の実用化について研究した。
「翼果の研究」:送風機を利用した風洞を作製し,その装置を用いて翼果の落下速度を浮遊実験によって測定した。落下速度と翼果の質量,形状(縦横の長さ)との関係を探ることで,それらの規則性について調べた。
「たらい型小水力発電」:落差や水量が少ない川でも発電できるたらい型小水力発電装置を製作した。形状の異なる3種類のプロペラを各々装置に取り付け,回転数と発電量を測定し,どのプロペラが最も発電効率がよいのかを調べた。
「水素原子のスペクトルの測定」:希薄な気体中で放電して,発光させた。回折格子ごしに虚像を観察することにより光の波長を求めた。希薄な水素中で同様に放電して,水素原子のスペクトルの観察及び線スペクトルの波長を求めることを目標としている。
「ピタゴラスイッチ」:物理の基本的な原理を用いた仕掛けを作製し,理科に興味のない人や,詳しく知らない人に私たちの仕掛けを見てもらい,理科に興味を持ってもらえることを目標として研究を行った。
「免震実験」:クランク構造を利用した地震発生装置と,作製した数種類の免震構造を用いて,免震実験を行った。実験では震度を測定できるアプリを使用して免震構造の種類ごとに震度の減少度を測定した。
「スーパーボールの跳ね返りの研究」:スーパーボールの跳ね返りについて興味を持った。ある高さからスーパーボールを落とし,跳ね返る高さについて実験した。また,3球重ねて落としたときの跳ね返りについても実験した。
「音で物を浮かせよう!!」:私たちは超音波を使って物体を浮かすことに興味を持ち,音響浮揚を研究の対象とした。物体は超音波の定常波のどの位置で浮くのか,スピーカーの位置が上下だけでなく,左右でも浮かせることが可能なのか実験した。
「空の青さの再現」:回折格子で白色光を虹に分光し,マスクを通過させた後,再度凸レンズで集光して,レイリー散乱による青空の色を再現できるか挑戦した。チャレンジ Empty Blue Fight!

■化学系■

「油の抽出」:様々な種類の種子をすりつぶし,ソックスレー抽出器を用いて油を抽出した。抽出した油のけん化価やヨウ素価を実験により求め,どのような用途に使うのがよいか考えた。
「バイオエタノールの生成」:化石燃料や原子力などの代替エネルギーとして注目されているバイオエタノールを廃棄物や雑草から得て,現在使用されているトウモロコシやサトウキビのように実用化することができないか研究した。
「日焼け止めクリームによる紫外線カット能力の違い」:石英ガラスに日焼け止めクリームを一定の厚さに塗り,太陽光と分光光度計で波長を変えながら日焼け止めクリームの紫外線透過率を測定し,日焼け止めクリームの能力を比較した。
「ギ酸とフェーリング液の反応」:アルデヒド基-CHOの検出反応に用いられるフェーリング反応は,ギ酸では起こりにくい。その理由を調べるため,Cu2+とギ酸イオンによるキレート錯体の生成条件について調べてみた。
「ゴム状硫黄は何色?」:化学の授業でつくったゴム状硫黄は暗褐色であったが,教科書では純度の高い硫黄を用いると黄色のゴム状硫黄になると書かれていた。そこで,黄色のゴム状硫黄が,どのような条件で作られるのかを調べてみることにした。
「マローブルーの色の変化」 マローブルーとはハーブティーの一種で,アントシアニンを多く含んでいる。この色が青,紫,ピンクと様々に変化しやがて退色してしまうことを知り,マローブルーの色の変化,また退色の原因について調べた。
「自作の簡易炎光光度計によるナトリウムイオンの定量」:水中のナトリウムイオンNa+の量を測るための簡易炎光光度計を製作した。測定したNa⁺の炎色反応を画像処理ソフトImage Jを用いて,その発光強度を測定した。
「カタラーゼを語ろうぜ!!」:野菜に含まれる酵素カタラーゼを用いて過酸化水素の分解反応を行った。過酸化水素の濃度や反応温度を変えて実験を行い,それぞれの反応速度を調べた。また,この実験を用いた科学マジックも考えた。
「電極以外で起こる電気分解について」:電解質水溶液を電気分解するとき,2つの電極に触れないように,その間に金属線を置くと,この金属線でも電気分解が起こった。電極の素材の違いによる電気分解の起こりやすさや,電極からの距離と電圧の関係を調べた。
「PM2.5の捕集装置作り」:2.5 m以下の微小粒子であり,気管支に悪影響を与えるPM 2.5の捕集装置と明度判定装置を作った。そこで,天候による捕集量の変化や,マスクで防ぐことができるのかについて研究した。
「Ooho!!の問題の改善」:ペットボトルの代わりに開発されたOoho!!の味を改善するために研究を行った。そのためにOoho!!を作るための二つの溶液のうち一つを凍らせて作った。結果,粘り気はなくなり味の改善に成功した。
「竹の加水分解~バイオエタノールの合成をめざして~」:サトウキビからとれる糖からバイオエタノールが作れるように竹からも作れるのではないかと考えた。竹に含まれる糖量を調べ,バイオエタノールの原料としての植物やコピー紙などとの優位性を検討した。

■生物系■

「短期記憶の向上に効果的な条件の検討」:短期記憶とは,人間の記憶のうち短期的に保持される記憶である。脳の視覚系・言語系・運動系,各領域を鍛えることができるトレーニングを行い,短期記憶の向上に効果があるか,否かを調べた。
「末梢静脈における運動前後のヘモグロビン変化量」:私たちは運動を行うことによって,血液中のヘモグロビン量にどのような変化が見られるのかということに興味を持ち,有酸素運動と無酸素運動を行う前後でのヘモグロビン量の変化について調べた。
「岩塩中に存在する細菌の研究」:私たちは,岩塩の中で生き抜く細菌が存在することを先輩の研究から知った。その中で特に,種類の異なる岩塩中にどのような性質の細菌が存在するかについて興味を持ったため,岩塩ごとに細菌の分離と同定を試みた。
「植物の形成過程」:植物は有性生殖とは別に無性生殖も行う。その一例として,セイロンベンケイソウの不定形発芽が知られている。不定芽の形成にはまだまだ謎が多い。今回,セイロンベンケイソウの不定形発芽の条件を調べた。
「大腸菌の好き嫌い」:抗菌作用のある食材や抗がん作用のある食材は,病原性のある大腸菌の増殖を防ぐことができるという仮説を立て,一定量の大腸菌をまいた培地の上にすりつぶした食材を置き,コロニーの形成を観察した。
「植物の耐塩性」:植物の耐塩性について調べた。発芽率を調べると,植物には耐塩性をもつ種類と,もたない種類があることが分かった。そこで,数種の植物について様々な塩分濃度による発芽率の違いなどを調べた。
「乳酸菌と糖の関係」:乳酸菌は腸内環境を改善し,免疫力があがる効果があるとされている。市販の乳酸菌飲料を使用し,さまざまな培地で温度や濃度などを変化させて,乳酸菌の増殖量などの違いを調べた。
「ダンゴムシの習性」:手の中でコロコロと丸くなるダンゴムシ。花壇の裏でよく見かける生き物であるが,丸くなる以外の習性はあまり知られていない。このダンゴムシの習性について条件を変えて調べた。
「プラナリアの生態と耐性について」:プラナリアの生態と耐性について調べた。プラナリアは,水質が良い環境でしか生きることが出来ない。このことに着目し,住環境のpHを変えたり,生育環境を変化させたりしてプラナリアの活動限界を調査した。

■スポーツ科学系■

「サッカーにおける6つの位置別シュート率の研究」:千里サッカー部の試合をビデオ分析し,シュートの成功率が高くなる方法を研究した。結果,ペナルティーエリア内正面の位置で,低いシュートコースへダイレクトにシュートするのが,一番成功率が高かった。
「BPM(1分間の拍子数)が運動に与える影響」:BPMが与える運動への影響について調べた。3種類のBPMを聞きながら,縄跳び,反復横とび,立ち幅跳びを行い,記録の変化を調べた。BPMが運動に影響を与えるという結果が一部見られた。
「5日間!たった5分!足が速くなる方法!」:私たちは,体育祭で活躍するために短期間で足が速くなる方法について調べた。様々なトレーニングがある中で,私たちは「坂ダッシュ」と「お尻歩き」を選び実験を行った結果,効果的なトレーニング方法を発見した。
「運動能力とプレッシャーの関係」:試合などで緊張してしまって,本来の能力を発揮できない人のために実験をした。リラックスした状態と緊張した状態で実験を行った。その結果,緊張状態では運動の精度(コントロール)は落ちたが,パワーは上がった。
「音楽がランニングに与える影響」:音楽を聞くことによるランニングへの影響を調べた。15分間走ってもらった後,1分間に130~140拍の音楽を聞いて15分間走ってもらい,走行距離の差への影響を調べた。

C. SGH・SSH(連携)海外研修報告

SSH・SGH海外研修について,参加生徒により報告を行いました。
  1. 1. 「SGHニューヨーク研修報告」:"What we've learned in New York"
  2. 2. 「SSH共同研究研修報告」:国内SSH指定校8校と台湾・高雄高級中学,高雄女子高級中学との共同研究の成果発表。
  3. 3. 「SSH日韓高校生環境調査活動報告」:府内SSH指定校が韓国を訪問し,韓国・全州市の高校生との合同河川調査の成果発表

D. 作品展示

1. 探究基礎 (国際文化科1年):ディベートでは肯定・否定で対戦しますが,現実の課題は,白黒で割り切れるものではありません。肯定・否定両方の意見を折衷した現実的な提案を試みました。肯定側意見・否定側意見と提案をポスターにまとめました。 2. 生活科学 (国際文化科2年):1年間,「衣・食・住」にまつわる実験実習を行ってきました。その中で,「衣」「住」分野で製作した作品を展示しました。(衣分野:羊毛の性質を活かしたフェルトコースター,住分野:住居模型)

E. 国際大会・全国大会研究発表 ポスター掲示

1. 国際サイエンスフェア出場作品
[BeiHang Experimental School International Science Fair 2016] (中国・北京,2016年7月) Title: Changes in the Color of the Mallow Blue tea (49期科学探究)
[Japan Super Science Fair 2016](日本・京都,2016年11月)Title: Why is the sky blue? (49期科学探究)
2. 全国大会発表作品
[SSH生徒研究発表会(神戸大会)](2016年8月) 研究題目「太陽スペクトルの黄色を探して~凹面回折格子を用いた光の波長決定~」(48期科学探究)
[第13回高校化学グランドコンテスト] (2016年10月) 研究題目「銅と濃硫酸との反応により生じる黒色物質の成分分析」ポスター発表賞受賞