2023年2月2日〜4日 第18回千里フェスタを開催しました。2日目と3日目に行なった成果発表のうち「探究」の発表について紹介します。
>千里フェスタでの全ての発表のタイトルを、こちらからご覧いただけます。
国際文化科2年生の課題研究「探究」では、全員が社会課題解決をめざす研究を行います。大きく変化する社会の中で活躍できる力をつけるためです。
4月から、問題の把握・先行研究や先行事例の調査・実情を知るための調査や取材・解決策の立案・案に対して専門家や当事者から意見をもらう、といった活動を行ってきました。その成果を発表するのが千里フェスタです。今年度は8つの会場に分かれ87の研究について報告が行われました。
調査・発表・振り返りを繰り返すことで研究が進展します。4月は関心を持ったテーマの交流、6,7月は調査計画書の作成と検討、9月は調査結果を報告する講座内発表会、10月は3年生にも意見をもらう中間発表会、11月は大阪大学の大学院生による個別論文指導、1月は2回目の講座内発表会と大学院生による論文指導がありました。これらの機会を経て研究は進展し、中間発表会後の研究の深まりました。このことを外部助言者の先生方にも評価していただきました。
今回代表発表に対してコメントをしていただいたのは、大阪大学大学院 人間科学研究科附属未来共創センター 特任教授 榎井縁様(下の写真・右端)とIDEC株式会社 CSR室長 川内理絵様(上の写真・左端)です。大学・企業の第一線で働いていらっしゃるお二人からは、研究の意義を評価していただいたり、関連する問題や新たな見方を教えていただいたり、実際の企業での取り組みを紹介していただいたりしました。生徒の振り返りの次のような言葉に、生徒の受け止めがあらわれています。
コメンテーターの方のコメントから、学ぶことがたくさんあった。自分の中だけでは絶対出てこないような角度からの考えが聞けて、とても良い経験になった。
コメンテーターの方が紹介されていた「ルッキズム」は私も知らなかったので、学ぶことができました。
他の会場では、参観に来ていただいた保護者の方からたくさんの質問やコメントを出していただいたと聞いています。
今回、見学者はchromebookを会場に持参してフィードバックをその場で入力することにしていました。そのため、発表中に自分の知らないことがあるとすぐに検索して詳細を確かめることができました。
これまでにはなかった新しい光景です。
このあと、一人研究は4000字、共同研究は7000字にまとめ、英文の要約を加えた論文を提出します。
・日本には虐待されている子が増えていてそのほとんどが心理的虐待や身体的虐待
(心理的虐待とは大声で罵ったり、兄弟間で差別したりすること。身体的虐待は暴力などにより身体に傷を負わせたり生命に危険を及ぼしたりするようなこと。)
・虐待は連鎖する。
(幼い頃に受けていた虐待を自分の子どもにも同じようにしてしまうこと。)
・虐待は加害者だけが悪いのではなく、周りの行動で防げることもある。
・悩んでいる親の相談に乗る・虐待かもと思うようなことがあったら通報する
(自信がなかったり通報していいのか迷ったりする時は、匿名で相談できるような所もある。)
・見て見ぬふりをしない・親のSOSに気づいてあげる
最近虐待のニュースとかもよく見るし、もしかしたら身近なところにいるかも知れないから自分から何か行動できる人になることが大切だと思います。虐待の話を聞くと、ほとんどの人が加害者が悪いと思うだろうけど、私はこの発表を聞いて、加害者の行動だけを批判するのではなく周りにいる私達の行動も見直す必要があると気づきました。もし自分が虐待を見たときや気づいたときどのように行動すればいいのかも学ぶことができたので良かったです。
② 発表タイトル「使用済み使い捨てカイロを利用して、汚れた水をきれいにする方法とは」
【発表の内容】
水質汚染について調べるために、千里高校のビオトープの汚れを使用後の使い捨てカイロを使って浄化する実験を行った。GoGreenGroupという会社と直接やり取りを行い、カイロを入れたとき、入れなかったときを対照実験として行った。また、GoGreenGroupが今現在どのような実験や取り組みを行っているかについても調査した。それを踏まえて、今自分たちにできる水質汚濁を未然に防ぐ方法についても発信していた。
中間発表の時に聞いた発表で、その後の経過状況や実験結果が気になったので見学に行きました。実験結果を知れて良かったのと同時に、直接やりとりをしていた会社がどのように実験や取り組みをしているのかを新たに知れてよかったです。
③発表タイトル「服の交換会を通じて衣服ロス問題への意識を高めるには」
【発表の内容】
今現在衣服ロス問題はあまり対策されておらず、しかし衣服の作成には大量の水が必要であり、また大量の二酸化炭素が排出され、廃棄にも二酸化炭素は排出されることから、対策が必要です。
服を交換することで廃棄を減らせるのではないかという考えから、0円服の交換会に参加し、交換会を実施している会社の社長へインタビューを実施したところ、女性が大半で、中高生の参加が少なく、また、会場では高校生が着るような服が少なかったそうです。
そこで千里高校で服の交換会を開催することで、費用がかからないことに加え、あまり興味がない高校生の興味を引くことができると考え、交換会を開催したところ、廃棄される予定だった服を削減できたと言います。しかし、参加者が少なく、アンケートを取ったところ、参加者は衣服ロスに興味を持ったが、不参加者は興味がない、時間がない、などと回答していました。
これからの課題として、参加者が少ないことから、別のアプローチの方法を考えていくそうです。
【感想】
最近の若い人ほど流行に乗り、まだ着られる服を捨てる傾向にあると思うので、高校生を対象に服の交換会を実施していたことがとても良い考えだと思いました。私も実際に服の交換会に参加したのですが、外部で実施している服の交換会よりも高校生が着るような服が比較的多かったと思います。あまり参加者がいなかったとのことなので、ポスターなどの宣伝によってもっと興味を持ってくれたらいいなと思いました。
④ 発表タイトル「ペットと共生するために 〜生物多様性な社会を作るためには〜」
【発表の内容】
【感想】犬猫の殺処分の現状は減少傾向にあるものの、年に犬は4千匹、猫は2万4千匹が殺処分されている。猫のほうが多い理由は繁殖力が大きい、野良猫と飼い猫の混同等がある。スペインやドイツでは殺処分はゼロ、店頭販売もない。アニマルトラスト保護団体の取材の結果では、ペットショップが悪いのではなく、責任感がない飼い主が悪い。大阪府では犬の登録制度がある。しかし、猫のはないため、猫の殺処分を減らす探究をしていきたい。
殺処分ってとても身勝手なものだなと思いました。人間の責任感のなさが引き起こしているものなので早く解決してほしいです。またスペインやドイツは殺処分がないときいて、ただ日本が管理しきれていないのかと少しがっかりしました。動物の命を預かってペットにすることの重みを感じることが大切だと思いました。千里フェスタを通して知らなきゃいけないのに知らないことをしれてよかったです。
⑤ 発表タイトル「ヤングケアラーが生きやすい環境をつくるためには」
【発表の内容】
・ヤングケアラーとは?
・ヤングケアラーをサポートするために出来ることとは?
【感想】
ヤングケアラーという言葉は近年聞くようになったが、ヤングケアラーの人はどのようなことをして、何に困っているのかは知らなかったので、学ぶことができた。
特に、ヤングケアラーは小中学生も多いという点に驚いた。ヤングケアラーの人が必要としている支援で最も多かった「勉強のサポートが欲しい」という結果に、勉強もできないほど小中学生がしんどい思いをしなければならないというのが悲しいと思った。
また、ヤングケアラーの人は自分がヤングケアラーであるという自覚がないことが多いというのを聞き、ヤングケアラーという言葉が日本で浸透していないことが原因ではないかと思った。ヤングケアラーの人の支援は自分から相談しないと受けられない現状を変えたいという発表者の方の思いに私も共感した。